~フレンチバロックから時代をまたいだブルボン朝~
フランスはイタリアから額縁の文化を吸収した。この時代の絵画は宮廷のなかの装飾としての役割が強かったため、額縁も宮廷の豪華な空間を飾るにふさわしいきらびやかな装飾になっている。ブルボン家の率いるルイ王朝時代にルイ13・14バロック→ルイ15ロココ→ルイ16新古典主義と期をまたぎ盤石な額縁様式を確立させる。また、中間には移り変わりの過程で生まれるトランジオン(過渡期)フレームがそれぞれ分類され合わせると7種類が明確な様式として存在する。このことでもルイ縁の存在の偉大さが確認できる。
ルイ13世様式
ルイ13世は1643年に死亡したが、ルイ13世のフレームの殆どは、17世紀後半に作られた。これは全てに言えるが、必ずしも治世との時期は一致しない。この様式は、イタリア・ルネッサンスに対しフランス・ルネッサンスの幕開けと言える。ルイ縁の出現の意味は、額縁の変革史上きわめて大きい。従来の建築様式や装飾に付帯する位置づけから額縁は独自の地歩を築いた。この様式の特徴は直線的でありイタリア様式の趣を残すこと。模様配列にシンメトリー(左右対称)を取り入れたこと。文様はアカンサス・月桂樹などギリシャ・ローマから受け継いでいる。全体の印象はフランスらしく端正である。
ルイ13世/14世トランジオン(過渡期)様式
ルイ13世様式の特徴は模様配列が直線的でイタリア様式の趣を残すこと。一方ルイ14世様式の装飾は派手で豪華。このフレームは直線的な配列でありながらコーナーに独立性のある花の装飾がある。初めの頃このフレームは“ルイ13世フラワーフレーム”と呼ばれルイ13世の治世(1610-1643)の後半からルイ14世の治世(1643-1715)を通じて生産された。13世から14世に移行する過程でのトランジオン(過渡期)フレームかルイ14世に分類するかとの考えも起こり、13世かトランジオンか14世かで議論があった後、このトランジオン様式に分類された。
リージェンス(摂政)様式
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